データ分析

ダッシュボード開発プロジェクトの進め方〜「作るだけ」から卒業し、「プロジェクトを成功させる」ために

今回は、ダッシュボード開発プロジェクトを成功させるための方策についてです。
ダッシュボードは、ExcelやBIツールを使えば簡単に作成できる時代になりました。しかし、実際に仕事で使われるダッシュボードを開発するには、ただ作るだけではなく、設計から運用まで、しっかりとしたプロセスを踏むことが求められます。

この記事では、単にダッシュボードを「作る」だけでなく、「プロジェクトを成功させる」ための具体的なステップや注意点について詳しく説明します。実際のプロジェクトで起こりがちな失敗例や課題を例に挙げながら、ダッシュボード開発を成功に導くためのポイントを探っていきましょう。

ダッシュボード開発でよくある失敗例

まずは、ダッシュボード開発でよくある失敗例から見ていきましょう。例えば、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めようとするときに、何をしたらいいかわからないまま「とりあえずダッシュボードを作ろう」という流れになりがちです。これは多くの企業で見られる光景です。

具体的には、企業の上層部が「ビッグデータを活用しなければならない」「AIを導入してダッシュボードを作ろう」と指示を出し、事業開発やビジネス系のチームが「とりあえずダッシュボードを作ってみよう」という結論に至ることが多いです。

そして、システムチームや開発チームが「わかりました」と言ってダッシュボードを作成します。

しかし、数ヶ月後にフィードバックを求めると、ビジネスチームからは「作ってもらったのはいいけれど、使い方がわからない」「結局、誰も使っていない」という回答が返ってくることがよくあります。このように、誰にも使われないダッシュボードが完成してしまうことは非常に残念です。

このような失敗を避けるためには、ダッシュボードを作る目的を明確にし、利用者のニーズをしっかりと把握することが重要です。目的が曖昧で、誰のために、何のために作るのかが不明確なまま開発を進めると、後々の段階で問題が生じやすくなります。

ダッシュボード開発における4つの主要な課題

ダッシュボード開発にはいくつかの課題が存在します。これらの課題を事前に理解し、適切に対処することで、プロジェクトの成功率を大幅に向上させることができます。ここでは、4つの主要な課題について説明します。

1. 組織的な課題

まず、組織的な課題です。上層部から「データを活用しよう」と指示があったものの、具体的な目的が定まっていない場合や、データを活用できる人材が不足している場合があります。また、データを活用する権限が担当者に与えられていないことも大きな問題です。

たとえば、上層部が「データを活用して業績を改善しよう」と言ったとしても、現場でそのデータを使って何をすべきかが明確でない場合、データは活用されず、ただの数字の羅列に過ぎなくなります。また、データアナリストやサイエンティストがいても、彼らに実際の意思決定権がないと、効果的なデータ活用は難しいでしょう。

2. データ収集の課題

次に、データ収集の課題です。多くの企業では、データが各部門に分散していて、統合的なアクセスが難しいという問題があります。たとえば、営業部門が持っているデータ、マーケティング部門が持っているデータ、システム部門が管理しているデータがそれぞれ独立して存在し、データを一元化することが困難な場合があります。

さらに、データのアクセス権限が厳しく管理されているため、必要なデータにアクセスするために時間がかかることも少なくありません。アクセス権限を取得するだけで数ヶ月を要することもあるでしょう。

3. データ品質の課題

データの品質も大きな課題の一つです。収集されたデータに欠損や異常値が含まれている場合、そのままでは分析に利用することができません。また、テーブル定義が不明確で、データの意味や構造が理解しづらいことも問題です。

データが整っていないと、いざ分析しようと思っても、結果が信頼できるものにはなりません。そのため、データのクレンジングや整備が必要になります。

4. 分析基盤の課題

最後に、分析基盤の課題です。大量のデータを扱う場合、それを処理するためのインフラが必要です。特に、大規模データをリアルタイムで処理する場合、高性能な分析基盤が不可欠です。

また、データには機密情報が含まれることが多く、適切なセキュリティ対策も求められます。データの漏洩や不正アクセスを防ぐためには、厳格なアクセス管理が必要です。

ダッシュボードの目的とその活用例

ダッシュボードの主な目的は、ビジネスのパフォーマンスや全体像を一目で把握し、迅速かつ的確な意思決定を支援することです。ダッシュボードを通じて、データを可視化し、企業全体のパフォーマンスをモニタリングします。

ダッシュボードの具体的な活用例

ダッシュボードにはさまざまな活用例があります。以下にいくつかの例を挙げます。

  • 経営サマリーダッシュボード: 企業全体のパフォーマンスを一目で把握できるダッシュボードです。経営層が迅速に意思決定を行うために必要な情報を提供します。

  • 売上ダッシュボード: 各店舗や製品の売上状況をリアルタイムでモニタリングできるダッシュボードです。販売戦略の見直しや在庫管理に役立ちます。

  • マーケティングダッシュボード: キャンペーンの効果やコンバージョン率を視覚的に確認できるダッシュボードです。マーケティング施策の効果をリアルタイムで評価できます。

  • 在庫管理ダッシュボード: 商品の在庫状況を把握し、需要予測に基づいた発注管理をサポートするダッシュボードです。過剰在庫や欠品を防ぎます。

また、タブローパブリックのようなサービスを利用することで、さまざまなダッシュボードの例を参考にすることができます。これにより、自分のプロジェクトに最適なダッシュボードのイメージを具体化することができるでしょう。

ダッシュボード開発プロジェクトの流れ

ダッシュボード開発プロジェクトを成功させるためには、明確なステップを踏むことが重要です。以下に、プロジェクトの流れを説明します。

1. プロジェクトの立ち上げ

プロジェクトを成功させるためには、適切なメンバーの配置が不可欠です。プロジェクトマネージャー、ビジネス担当者、エンジニア、データアナリストなど、各役割を担うメンバーを選定します。

  • プロジェクトマネージャー: プロジェクト全体を管理し、スケジュールやリソースを調整します。

  • ビジネス担当者: ダッシュボードを利用するビジネスチームの代表者として、ニーズを伝えます。

  • エンジニア: データの収集や統合、分析基盤の構築を担当します。

  • データアナリスト: データの可視化やダッシュボードの設計を担当します。

2. 要件定義

要件定義は、ダッシュボード開発プロジェクトにおいて最も重要なステップの一つです。この段階では、プロジェクトの目的を明確にし、ビジネス課題やユースケースを洗い出します。

  • ダッシュボードの開発目的: 何のためにダッシュボードを作成するのかを明確にします。たとえば、業績のモニタリングや意思決定の支援など、具体的な目的を設定します。

  • ユースケースの洗い出し: 誰が、いつ、どのようにダッシュボードを利用するのかを明確にします。これにより、必要な機能やデータの要件が定まります。

3. 設計と詳細の詰め

要件定義に基づいて、ダッシュボードの詳細な設計を行います。具体的には、以下の項目を決定します。

  • サマリーシートと詳細シートの構成: ダッシュボードの全体構成を決定します。たとえば、トップページには全体のサマリーを表示し、詳細ページでは個別のデータを深掘りできるようにします。

  • 表示する指標とチャートの種類: KPIやその他の重要な指標をどのように表示するかを決定します。また、利用するチャートの種類(棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど)も選定します。

  • フィルターの設定: ユーザーがデータを絞り込めるように、フィルター機能を設定します。たとえば、地域別や時間別にデータを表示できるようにすることが考えられます。

4. 開発とテスト

設計に基づいて、ダッシュボードの開発を進めます。開発後は、テストを行い、フィードバックを受けて改善を繰り返します。テスト段階では、実際の利用者に使ってもらい、操作性や表示内容に問題がないかを確認します。

5. 運用とサポート

ダッシュボードが完成した後も、運用とサポートは非常に重要です。ユーザーからのフィードバックをもとに、ダッシュボードを継続的に改善し、利用者の満足度を高めます。

  • マニュアル作成と講習会の実施: ダッシュボードの使い方を解説するマニュアルを作成し、ユーザー向けの講習会を開催します。これにより、利用者がスムーズにダッシュボードを使いこなせるようになります。

  • フィードバックの収集と改善: ダッシュボードの運用中に収集したフィードバックをもとに、定期的に改善を行います。新しい機能の追加や表示方法の改善を行うことで、ユーザーの利便性を向上させます。

ダッシュボード開発の成功の鍵

ダッシュボード開発プロジェクトを成功させるためには、以下のポイントに注意することが重要です。

1. 目的を明確にする

ダッシュボードを作る目的をはっきりさせ、全員が共通の認識を持つことが大切です。何のためにダッシュボードを作成するのか、その目的が曖昧であると、プロジェクトの進行中に方向性を見失う可能性があります。

2. ユーザーのニーズを理解する

ダッシュボードを利用するユーザーのニーズをしっかりと把握し、それに応じた機能やデザインを提供することが重要です。ユーザーが求める情報を適切に表示できるよう、要件定義段階でしっかりとニーズを洗い出します。

3. 継続的に改善する

ダッシュボードは、一度作って終わりではありません。継続的に改善し、ユーザーのフィードバックを取り入れることで、より使いやすいツールにしていくことが大切です。定期的なアップデートや機能追加を行い、ユーザーの満足度を維持します。

4. 適切なツールを選ぶ

プロジェクトに最適なBIツールを選定し、コストや機能、操作性などを考慮して決定します。ダッシュボードの規模や目的に応じて、最適なツールを選ぶことで、プロジェクトをスムーズに進行させることができます。

5. セキュリティと権限管理を徹底する

データの機密性を保つため、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。また、データへのアクセス権限を管理し、適切なユーザーにのみアクセスを許可することで、データの漏洩や不正利用を防ぎます。

まとめ

ダッシュボード開発プロジェクトを成功させるためには、計画的なアプローチと継続的な改善が不可欠です。本記事で紹介したポイントを押さえながら、プロジェクトを進めてください。特に、ダッシュボードの目的を明確にし、ユーザーのニーズをしっかりと理解することが、成功の鍵となります。

プロジェクトの進行中には、各ステップで生じる問題に柔軟に対応し、フィードバックを積極的に取り入れることで、より良いダッシュボードを提供することができます。最終的には、ダッシュボードが実際に活用され、企業の業績改善や意思決定に寄与することが目標です。

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