そろそろ進学の季節ですね。
修士から博士課程に進む人もいくらかいると思います。
私はそろそろ博士を卒業できそうですが、今振り返って、進学に際してやっておいた方がよかったなぁと思うことをリストアップしてみます。
博士課程に進学するときにやっておいたほうがいいこと
2. 応募できる研究費や助成金を調べておく
3. 学振など申請書を書く
4. 論文のいい英語表現をプールしておく
5. 参加できる学会を調べ、学会員になる。submitの日付を確認しておく
6. 関連する論文雑誌をリストアップし、メールアドレスを登録しておく
7. 1本目の投稿論文はできるだけ早めに仕上げる
1. 業績リストを作る
まず、今までの研究の業績リストを作りましょう。
業績は、投稿論文、学会発表、競争的資金、発表などの表彰、(厳しいけど)特許などが当てはまります。
投稿論文ならば、「全著者名、タイトル、雑誌名、巻、ページ、doi、受理された年、査読の有無」
学会発表ならば、「全著者名、タイトル、学会名、開催地、発表年月、査読の有無」
を書いておきましょう。
競争的資金は、教授陣であれば科研費などがメインになると思いますが、学生であれば、例えば学内プログラムの海外渡航助成金や留学費を獲得していたりしたら、それらは競争的資金に該当します。
また、最近は学会や研究会などで学生の発表賞を設定することが多く、それを受賞できたならば、記載しておきましょう。
発表賞が最近は乱立しているような気がしますが、一応立派な業績です。
2. 応募できる研究費や助成金を調べておく
自分の所属する研究室が相当お金持ちだったり、もしくは自分が学振DC1を持っていたりすれば話は別ですが、基本研究するにはお金がかかり捻出する必要があります。
研究の備品であれば、研究室で購入してくれるかもしれませんが、それはその研究室の教授が研究費を持っているかによります。
また、学会(特に国際学会)で発表するためには渡航費などがかなりかかるので、教授任せにしておくわけにはいきません。
特に、自分がいずれ研究者になろうとしているのであれば、研究費の獲得は必須事項になってくるので、博士課程のうちから自分でお金を獲得するという意識をしておく必要があります。
学振には皆申請するかと思いますが、それ以外にも財団や企業が研究助成や海外派遣助成をしています。
また、いろいろな学会が学会員向けに海外派遣や研究助成などをおこなっています。そういった情報は、自分で動かないと入ってこないので、アンテナを張っておく必要があります。
簡単にできることとしては、大学が競争的資金のwebページを持っていれば自分のメールアドレスを登録して情報が来るようにしておいたり、COLABORY(https://www.colabory.com/grants/)などの研究助成のwebサイトに登録しておくと良いと思います。もちろん、自分の研究が近い学会には必ず登録しておきましょう。
3. 学振など申請書を書く
2のように応募できる研究費や助成金があれば積極的に申請書を書きましょう。
最初のうちはかなり大変ですし、書いたとしてもなかなか採択されないですが、めげずに書き続けましょう。
一つ採択されればそれは業績になり、次の申請が少しですが通りやすくなるかもしれません。
また、通った申請書はある程度良い内容だということがわかるので、今後の書き方の参考になると思います。
申請書の書き方に関しては、WEBサイトや本で色々な人が書いているので、参考にすると良いでしょう。
4. 論文のいい英語表現をプールしておく
博士課程では必ず英語の投稿論文を書かないといけません。
しかし、英語で論文なんて書いたことない人がほとんどでどう書いたらいいかわからないかと思います。
そこで最初のうちは、他の人の論文からいい表現を見つけたら、書き溜めておくメモのファイルを作っておくといいと思います。
論文から出なくても論文の書き方の本もたくさんあるので、参考にしましょう。
5. 参加できる学会を調べ、学会員になる。submitの日付を確認しておく
自分が参加できそうな学会は確実に調べておきましょう。
だいたい、先生方がどんな学会に所属しているかを聞いてみたりすれば、調べてみたりすればわかるでしょう。
研究コミュニティに参加しておくことは、学会で発表して成果を増やすだけでなく、今後研究者としてのポストを得たり、共同研究をするときに人と繋がるためにもとても重要なことだと思います。ちゃんと学会員になっておきましょう。
また学会で発表することもまた重要ですから、いつがsubmit(投稿)の締め切りか把握しておきましょう。
6. 関連する論文雑誌をリストアップし、メールアドレスを登録しておく
所属できる学会を把握しておくのと似ていますが、論文雑誌もきちんと把握しましょう。
雑誌によって、その雑誌がどのような研究を対象にしているか異なります。
それに、フルペーパーなのかレターなのか、また難易度はどうなのか、など個性があります。
図の配置の仕方や論文の構成も、雑誌によって書き方が変わってくることもよくあります。
確実に雑誌をいくつか把握しておき、自分が投稿するときにどの雑誌を選ぶか、そしてどのように論文を書いていけばよいか、わかるようにしましょう。
7. 1本目の投稿論文はできるだけ早めに仕上げる
最後になりますが、非常に大切なのが1本目の投稿論文をなるべく早く仕上げることだと思います。
初めてですと、素晴らしい結果がないと論文にならないんじゃないかと不安になることもあると思いますが、案外そんなこともありません。
少し不十分かなぁと思っても、書き方によってはうまくいくこともよくあります。
だからできるだけスピーディに最初の一本を仕上げたいのです。
書いているうちに、自分の研究に足りないところや背景知識もまとめられます。そうして得られた経験は2本目、3本目につながっていきます。
そして、何より投稿論文があることは、学振DCや研究費の取得に顕著につながっていきます。
成果は成果を呼ぶ、というのは明らかです。したがって、最初の一本を何とか書きましょう。
指導教員によっては、特に年配の先生になってくると、それほど面白くない結果では論文を書かせてくれないことはよくあると聞きます。
じっくり腰を据えて時間をかけて大きい研究をしなさいと言われるかもしれませんが、博士の学生にはそんな時間もないしお金もないのです。
それに大きい研究は小さい研究ができないで、できるはずがありません。
何とか小さいことでいいから、投稿論文としてまとめ、アクセプトされるまで何とか頑張りましょう。
そうすれば、学振などの研究費獲得にもつながり、学会発表やいろいろな機会が増え、そして新たな成果へとつながります。
修士課程で研究した内容は何としても投稿論文としてまとめることを念頭において、やっていきましょう。