今回のトピックは博士学生の結婚についてです。
一般的に学生結婚と言うと、周りから白い目で見られることもあるかもしれません。
しかし、博士学生の場合は若くても25歳以上、時には30歳を超えていることもよくあるので、年齢的には結婚適齢期です。
私は修士課程卒業後、一度社会に出て働いている間に結婚し、また博士課程に戻ってきたので、普通の人とは少し違いますが、結婚していると言う状況は同じです。
ちょうど博士課程に進学し3年が経ったので、結婚していることのメリット・デメリットを書いてみたいと思います。
さらに、私の場合は在学中に子どもが生まれたので、その件も踏まえたいと思います。
博士学生で結婚していることのメリットとデメリット
メリット
時間の融通がきく(※ただし、研究分野による)
精神を保てる
子育てに参加できる
家事が分担できる
生産性を上げようと意識できる
立場的に追い込まれているので、力を発揮できる
時間の融通がきく(※ただし、研究分野による)
基本的に出席するようなセミナーなどがなければ特に制約もないので、子どもや奥さんの体調が悪いとか、有用ができたとかいうときにそちらを優先することができます。
ただし、実験系などではその実験に丸一日かかるなどということもザラだと思いますので、そこは研究分野によるかもしれません。
正気を保てる
これは非常に重要です。博士課程の学生で病む人はしばしばいます。
なかなか結果がでなかったり、お金がなかったり、社会から隔絶されたような空間で疎外感を感じたりすると、精神バランスを取るのが難しくなることがよくあります。
しかし、家族がいるとなんだかんだ家に帰れば人がいて、会話ができて、研究以外にやらなきゃいけないこともあるので、気がまぎれて正気を保っていられると思います。
子育てに参加できる
これは時間に融通がきくとほぼ同じです。
会社員だったりすると、基本的に平日昼間は家にいれませんし、夜帰ってきたら子どもが寝ているということはよくあると思います。
学生なら帰ろうと思えばすぐに帰ってこれるので、積極的に育児に参加できます。
生産性を上げようと意識できる
全ての時間を研究に使えるわけではないので、必然的に生産性を上げる方向に意識が向きます。
一人だったら、研究室でダラダラ仕事をしていたり、長時間話し込んだりしてもよかったですが、パートナーがいるとちゃんとした時間に帰らないといけないので、時間の使い方に対する意識が変わります。
立場的に追い込まれているので、力を発揮できる
人間追い込まれると力を発揮できるものです。
パートナーがいて、子どももいたりすると絶対に3年で出なきゃとか、お金を取ってこないと、みたいな意識が働き、業績も上がるのではないでしょうか。
デメリット
お金がない
全ての時間を研究に費やせない
海外への長期出張が難しい(実施するのに方々の理解が必要)
進路選択を自由に行えるわけではない
子どもの保育園がムズイ
全ての時間を研究に費やせない
研究は時間がかかります。
よく、「昼夜問わず研究に没頭する」などと言われますが、家族がいたらそんなことできるわけありません。
私も朝9時頃行って遅くとも6時には帰るようにしています。子どもをお風呂に入れないといけませんから。
なので、研究できる時間は限られます。その分、生産性を上げていく必要があります。
海外への長期出張が難しい(実施するのに方々の理解が必要)
パートナーや、子どものいるいないにもよりますが、長期の海外出張は難しくなる気がします。
私の場合は博士の3年で、1ヶ月単位の出張を3回、1週間程度の学会に5回ほど参加しました。
博士課程に戻る以上は海外での研究経験を絶対にしたいと思っていたので、なんとか実現しました。
しかし、ここでも大きな問題の一つは家族です。パートナーがウンと言わないと、やはり難しいです。
私はなんとか頼みこんで実現させましたが、人によっては難しいかもしれません。
まぁ、私も本音を言えばもう少し長期で行きたかったのですが、それは仕方ないですね。
進路選択を自由に行えるわけではない
なんとか博士を卒業できたとしても、次の職を探さなければいけません。
研究者として生きる場合、博士を卒業したら一般的にはポスドクと言われる任期付研究員になる必要があります。
ポスドクの職はどこにあるかわかりません。
日本にあるかもしれませんし、なくて海外に行く必要もあるかもしれません。
むしろ、研究者として生きるなら、ポスドクでの海外研究経験は必須かもしれません。
そうなると、パートナーや子どもを海外に連れて行くか、単身で行くかという選択肢になります。
普通、単身では行きたくないですが、パートナーにも仕事がありますし、もし辞めるとしても海外に抵抗があることは多いでしょう。
さらに子どもが小さければなおさらです。
大きな選択になることは間違いありません。
また、全員で海外に住むことになったとしても、自分のポスドクの給料だけで家族を養うのはかなり難しいです。
お金の問題も浮上してきてしまいます。
お金がない
博士で結婚していることのデメリットとは少し違いますが、めちゃめちゃ大きな問題の一つです。
私の周りには意外と博士学生で結婚している人はいます。
私は社会人時代の貯蓄でなんとか2年過ごし、運よくD3から学振DCをもらい始めたので、なんとか過ごせました。
ただし、私が知っている学生結婚した博士学生のパートナーは皆働いていましたし、多くの場合、当の本人も学振を取得して月20万の給料を得ていました。
結局、お金がないと結婚なんてできないです。ましてや博士学生で。
それによく、奥さんが働いてるなら養ってもらえばいいじゃないとか言われることもありますが、まだまだこの日本の社会で奥さんに養ってもらって学生をするというのは、そんなに良いものではありません。
無言の圧力をいろいろなところで感じるものなのです。
やはりお金の問題は非常にシビアです。
学振や奨学金などでうまくやって行く必要があります。
こちらを学振と奨学金の比較等は下の記事で書きましたので、ご覧いただければと思います。 博士学生の大きな問題はお金ですよね。 そこで多くの人が応募するのが学振DCです。 学振DCに採用されると月20万の研究奨励費(給与)を与えられます。 ただ、社会保険など除くと手取りは16万くらいになり ...
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